「かたちがある」ということ

ゼンタングル

アニメ「平家物語」を見ました。

うどん県で生まれ育った私にとって、平家物語といえば、「屋島の合戦」「那須与一」「扇の的」といった言葉が、まず頭に浮かびます。

その他に知っていることといえば……、なんか、平家と源氏が戦って、源氏が勝って、平家が負ける、みたいな……。お恥ずかしながら、本当の本当に、それぐらいの知識しかありませんでした。

そんな状態の私でもつまづくことなく……と言いたいところですが、正直、アニメを見ただけでは、何が起きたのか分からないところもわりとありました。

いや、主要人物の生死くらいはさすがに分かりましたが……それどころか、笛の人が亡くなった時には、絶叫を通り越して放心してしまいましたが……。

PVを見て、アニメーションと主題歌の繊細さに圧倒されて、いつか見たい、これは絶対に見なければならないと思っていました。そのこと自体に偽りはありません。

……が、心の片隅では、「刀剣乱舞」で源氏の刀の声を担当している花江夏樹さんと岡本信彦さんが、このアニメの中ではおふたりとも平家にいらっしゃるの、ちょっと面白いな……とか、そんな軽い気持ちを抱いていたわけで……。

例の笛の人の、あまりにも衝撃的な死を目の当たりにして、そんなヨコシマな思いは木っ端微塵に吹き飛ばされたのでした。

あと、私は、PVの最後にどうして「祈り」という言葉が出てくるのか、その理由がいまいちよく分かっていませんでした。

アニメを見始めてからも、その疑問をずっと引きずっていたのですが、オリジナルキャラクターの「びわ」が自分の生きる意味を見つけた瞬間、こちらも「あっ!!」となりました。

クライマックスへの坂道を転がり始めた、この悲しくも美しい物語の慈しみ方を教えてもらったような気持ちになったことを、鮮明に覚えています。

そう、「悲しくも美しい」って言うのは簡単ですけど、ああ、「悲しい」とはこんなにも美しいものなんだ、「美しい」とはこんなにも悲しいものなんだって……、うまく言えませんが、最終話を見終わった後、そのような思いで胸がいっぱいになりました。

アニメの中で分からなかったことを分からないままにしておきたくなくて、アニメの原作として記されている、古川日出男さんが訳された「平家物語」も買いました。

今、電子書籍の画面に表示された総ページ数を見て、そのボリュームに怖気づいているところです。時間や体調とよくよく相談しながら、少しずつ、大切に読もうと思います。

Thanks for your time!


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