「かがみの孤城」を読みました

かがみの孤城(電子書籍版)

かがみの孤城
著者:辻村 深月
出版:ポプラ社

「わグルま」好きの同志の方がオススメしていたので読みました。

本当は、これの映画を見に行くつもりだったのですが、例の感染症→鼻風邪→副鼻腔炎→低血糖症のコンボを決められたので、普通にあきらめました。

欲しいと思ったものが手に入らなかったり、石橋を叩いている間にチャンスを逃したり……というのは、私にとっては日常茶飯事なので、今回も「いつものこと」で済ませるつもりだったのですが、なんとなく悔しい気持ちになったので、原作を買って読んでみることにしました。

「すずめの戸締まり」を見たあと、私は、「こういう人は見ないほうがいいかもしれないと思った」と書きましたが、「かがみの孤城」においては、私自身が「こういう人」の立場になりました。

主人公のこころが受けた暴力の記憶と、その後遺症と……、何より、加害者の特徴的な言動があまりにもリアルで、読みながら、何度も何度も「うっ」となりました。

私の場合は、実家が典型的なゴミ屋敷だったので、近所に住む同年代の子達から、聞こえよがしに「汚い」「菌がうつる」と言われていました。

また、「子どもは親を選んで生まれてくるんだよ」などという、共感や同情ですらない、中途半端なエゴを押し付けてくる大人の多さに絶望していました。

この本を、ところどころ「うっ」となりながらも読み終えてみて、こころが、「自分には城のみんながついている」と思えるようになったのと同じように、私も、「自分にはこころがついている」と思ってみてもいいのかもしれないな、と思いました。

こころが……というよりも、あんなにもリアルに暴力のいたみを描ける人が、この世に存在する。それは私にとって、「分かってくれる人がいる」という希望になりました。

あと、物語の核心的なネタバレになるので、ややぼかしながら書きますけども……。

私は、こころを絶体絶命のピンチから救ってくれたのは、城のみんなでもなければ、現実の世界でこころを支えてくれた人達でもないと思っています。

去年の12月、私の心の中に「凪」がやってきました。

私は、その「凪」に向かって、気が付いたときに言葉を投げかけるようになりました。
同時に、この「凪」が、もともとどんな存在だったのかを、考えて、考えて、考え抜きました。

そうして導き出した自分なりの答えが、この本から受け取ったメッセージとよく似ているな、と思いました。

うまくいえないですけど、こころも、いつか、できればこころの大好きなものから、同じようなメッセージを受け取れるといいなと願っています。

映画を見に行けなかったことはやっぱり残念ですけど、原作だけでも読めてよかった。
出会えてよかったです。

Thanks for your time!


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